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リペア / 6500TCCM ロッキングワッシャ

ロッキングワッシャの破損

 「Carpmaster/メカニズム」のページでお話しましたが、6500TCCM Carpmasterはスプールとシャフトの間にベアリング があり、シャフトは固定されています。これは7000シリーズ以上の大型リールとの大きな違いのひとつです。では、シャフトが回転しないようにどうやって固定されているかというと、今回取り上げたロッキングワッシャがその役目を担っています。
 ところが、そんな大事なパーツであるにも関わらず残念ながらプラスチック製で割れやすいデリケートな作りになっています。以前メンテナンス中にごくわずかな力で割れてしまいとても驚きましたが、6000シリーズの情報をネット上で調べてみると常識的に扱われていました。このパーツの取り扱い上の注意レベルがわかりましたので修理してリールを使い続けることにしました。
 

パーツの取り寄せ

 ロッキングワッシャーの純正品を取り扱っている業者はいくつもあり、数日で自宅に到着することがわかりましたのですぐに注文しました。純正品と互換性がある金属ワイヤー製のロッキングワッシャーも流通していることがわかりましたので、機会があればそちらも試してみたいと考えています。
 

ロッキングワッシャの交換

 写真1は右サイドプレート側から見た外観で、ここから取り外したスプールキャップが写真2です。キャップの内部にロッキングワッシャが入っていることがわかります。キャップを外したスプールシャフト側がどうなっているかというと、写真3のようにカットした溝があり、180度反対側にも同じ溝が対をなすようにあります。ここにロッキングワッシャの爪が入ってシャフトの回転を規制する仕組みになっています。
 写真4に新旧のロッキングワッシャを並べています。左の破損したパーツは、シャフトの溝に嵌まり込む爪がなくなっています。残っている一対の爪は、スプールキャップを締め込むと圧縮されて摩擦力が働き、ロッキングワッシャ自体が回転しないような仕組みになっていると考えられます。そのため、スプールキャップを最後まで締め込んでしまうと爪が折れてしまう恐れがあります。なんとも不安感を拭えないABUらしくないパーツだと思います。
 新品のワッシャをピンセットを使って注意しながらスプールキャップに入れた状態を写真5に示します。大小の爪の部分に力をかけずに、外周部分を少しずつ押し込んで入れると大丈夫です。
 

右サイドプレート組立て

 最後に右サイドプレートにスプールキャップをねじ込めば終わりなのですが、うまくロッキングワッシャがシャフトに入らずに手こずってしまいました。想像以上に強く押し込まないとワッシャの爪が広がってくれないようなので、無理をせずに以下の手順で組み立てました。
 右サイドプレートを固定する3本のローレットネジを緩め一旦外します。次にスプールキャップを浅くねじ込みます。そしてサイドプレートを元に戻し、ローレットネジ3本を少しずつなるべく均等にねじ込み、その力でロッキングワッシャをシャフトに嵌め込みました(写真6)。一度入ってしまうとその後はスプールキャップだけ簡単に脱着ができるようです。最後にスプールのガタ付きがなくなるようにスプールキャップを調整し、ハンドルを回して正常にドライブすることを確認したら完了です。

写真1. 6500 TCCM Carpmaster

写真2. Right Spool Cap

写真3. スプールシャフトのカット

写真4. (左)破損品 (右)新品

写真5. 新品のロッキングワッシャ

写真6. 3本のネジを均等に締め込む

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