2006年9月21〜24日 北浦のモンスター遭遇記 mi○


21日木曜日の午後。仕事の休憩時に携帯をチェックすると、昨夜痔鳥オヤジさんからメールが入っていたことに気がついた。 夜遅い時間に北浦に到着したらしい。遅ればせながら返信してみると、ちょっと前に87cmをゲットしたと返事があった。私も今週末は北浦に行こうと決めていたのだが、メールをやりとりしているうちにどうしても1日早 く行きたくなっ てきた。今年は夏休みを取れないでいるどころか、代休も随分溜まってしまっている。いい加減消化しなければならない。我ながら最近はよく働いていると思っている。自分へのご褒美ということで、急遽金曜日は代休とした。

22日金曜日。午後2時北浦到着。周囲に鯉師の車が数台停まっているが、ポイントはまだたくさん空いている。痔鳥オヤジさんと相談して、少し離れたゆるいカーブに竿を出すことにした。真正面に杭が立っている。その杭の右側にタニシエサ、左にボイリーを投入した。今回のボイリーはNGカープのダイナマイトベイツ・ボトム(パイナップル)20mmで、ヘアリグに2個付ける。

竿のセッティングが終了し、一息ついてから痔鳥オヤジさんが釣り上げた鯉の写真を見せていただいた。丸々太った典型的な北浦体型の綺麗な鯉である。一昨年あたりから北浦らしからぬスマートな鯉が釣られることがしばしばあり少し気になっていたが、この太った鯉の姿を見て安心する。
 

一足先に釣果を上げて待っていた痔鳥オヤジさん

痔鳥オヤジさんの典型的な北浦体型の鯉(87cm)


間もなく私のボイリーにヒット!しかし穂先が少し動くだけで食い込まない。これはジャミがかかったかと思ってリールを巻き上げると、ハリに何かヒラヒラ付いてくるものが あった。確認すると立派にヒゲがある 。なんと17〜8センチの子鯉であった。ボイリーもフカセ18号のハリも、どう考えてもこの鯉の口に入るとは思えないのだが、現実的に口にハリ掛かりし、しかもラインを引いてセンサーのスイッチまで入れた。私のぶっ込み釣りの最小記録を大幅に更新することになった。その後40センチクラスの鯉2匹とニゴイがボイリーに掛かってきた。 このボイリーはアタリが早いが、鯉のサイズが小さいのが残念である。

夜中もボイリーに頻繁にアタリがあってセンサーが鳴るものの、空アタリばかりで寝不足になる。未明になって、ボイリーを付けた竿のセンサーをはずして寝ることにした。

数時間後、外の明る さに目が覚めた。時計を確認すると7時。さっそく車から這い出し、全ての竿のエサ交換をした。昨日から続いている北東の風がまだ強く、タニシのコマセを撒くことができそうもない。仕方なく食わせエサだけをを打ち込むことにした。

9時半近くになった。私はコンビニに行くために、痔鳥オヤジさんにセンサーの受信機を手渡す。そして自分の車に近づいたちょうどその時、車の中に置いてある受信機が鳴り出した。「またボイリーか?」 しかし竿を見ても当っていない。「おや?」と思いタニシエサの竿を見た瞬間、激しくリールのクリック音が響いた。駆け寄って竿を手にするまでの間、クリックは鳴りっぱなしである。 杭に一番近い竿の穂先が食い込んでいる。

竿を持って落ち着いてアワセると、杭の方向に逃げ込もうとしている。あわてて護岸を右手に移動し、杭から離そうとする。竿を立てるがビクともしない。杭に巻かれたと思った次の瞬間、相手はゆっくりと杭から離れるように移動を始めた。

「これは、なかなかいいサイズかもしれない!」

無理をしないようにゆっくり手前に寄せる。隣の竿のラインに絡みそうになり、しゃがんだり立ったりしながらやりとりする。痔鳥オヤジさんが、絡みそうになった竿を上げて、応援してくれる。だいぶ手前まで寄せても、一向に浮く気配がない。鯉の手応えとは違う、圧倒的な重量感!一瞬背ビレが見えた。「アオだ!」 まさかここでアオウオに出会うとは・・・。10号ラインが糸鳴りを始める。 愛竿「小笠原」が弧を描く。「ギュルルル・・・・」時折激しくラインを引き出すモンスター。いつもならリールのクリックを切ってやりとりするのだが、今はこの音がたまらない。魚体が浮いたかと思うと、再びラインを引き出す。「ギュルルル・・・」 一度に引き出す量が半端じゃない。

「バラさない程度に楽しんでください!」

やりとりの写真を撮りながら、痔鳥オヤジさんが声をかけてくれる。両腕が次第にパンパンに張ってくる。

「フック、はずれないでくれ・・・」

祈るような気持ちで寄せるが、相手はまだまだパワーが残っている。「ギュルルル・・・」 両手で竿を支えてこらえる。暫くこんなやりとりを繰り返す。 どれほど時間が経過したのだろうか。ついに魚体を横たえ、全身をあらわにしたアオウオは、痔鳥オヤジさんの構えたタモに一発で吸込まれた。
 

「ギュルルル・・・」 両手で竿を支えてこらえる。

格闘の末伸ばされたハリ「フカセ18号」


車を護岸に停めてやりとりを見ていた方にお手伝いをお願いし、私とふたりでタモ網を持ち上げてアンフッキングマットまで移動した。長さ110cmのマットから、尻尾が大きくはみ出している。ハリをはずすと、フカセ18号が伸ばされているのがわかった。ちょうどその時、隣に竿を出していた大江戸鯉道楽の戸部さんと諸江さんが駆けつけてくださった。検寸台が120cmまでしかなく、長さが足りずに困っていると、諸江さんが工事用メジャーを貸して くださる。痔鳥オヤジさん、諸江さん、戸部さんの3人で検寸の結果、138cm。魚体が傷まないうちに写真撮影に入る。しかし、重くて持ち上がらない。ふたりがかりで魚体を持ち上げ、しゃがんで両腕を出した私に乗せてくれる。

「うわー、重過ぎる・・・。痔鳥さん、早く撮って!」

カメラを構えた痔鳥オヤジさんが何枚も撮影する。だんだん腕がこらえ切れなくなってくるが、なぜか表情はニコニコのまま。腕が限界に達したところで撮影終了。すかさずリリースする。水中に戻ったアオウオはすぐに姿勢を戻し、悠然と姿を消していった。
 

モンスターとの出会いは突然やって来た。北浦のアオウオ138cm。

急に脱力感に襲われた。喉はカラカラだった。両腕が重く感じられ、腰は限界に達していた。それでも椅子に座って休むわけでもなく、車の横に突っ立っていた。まだ興奮が冷めやらない。すべてが今までとスケールが違った気がした。「これがアオなんだ・・・」

これほどの満足感に浸ったことはない。今日はもう十分だと思った。そして協力してくださった周りの人達に感謝の気持ちで一杯だった。

午後3時頃になって、痔鳥オヤジさんが帰宅。その後私の竿にアタリは無く、深い眠りの中に夜が過ぎ、次の日の朝を迎えた。

やっと風が弱くなったので、エサをすべて打ち換えた後、いつものようにコマセを撒いた。さらに、準備を済ませてあとは風が弱まるのを待っていたウキ釣りもはじめる。30分ほどでウキに変化が出始め、最初に上ってきたのは40cmくらいの鯉だった。その後、何度も消し込みがあるが、アワセても乗らない。ここの鯉は見切りが早いのだろうか。ウキの動きに全神経を集中して早めにアワセると、 「シマノ爽風15尺」の穂先が いっきに引き込まれる。危うく竿を伸されそうになったところをこらえると、心地よい糸鳴りがして鯉が右に左に泳ぎ回る。無理をしないように鯉を遊ばせて、弱ったところでタモ入れする。50cmくらいの綺麗な鯉だった。一時間ちょっとでこの二匹の釣果。昨日の後遺症で腕の筋肉が痛む。本日はこれにてウキ釣り終了。

時計が10時を指したところで納竿にした。今回はぶっ込み釣り最小記録の鯉と、初アオウオのゲット。そしてウキ釣りまで楽しんで、 バラエティにとんだ釣行であった。痔鳥オヤジさんのメールを起点として、色々な偶然が重なった末にこんな結果に辿り着いた気がする。何かとても不思議な感じを抱きながら帰路についた。今度は是非、巨鯉に巡り合えますように・・・。

(終)


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