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フォトスタジオ / Dスタジオ: 鯉を持って撮影(2)
ここでは、これまでと違ったアングルで写真を撮影する方法についてお話していきたいと思います。
 
Cスタジオでお話した撮影の仕方は、各種大会などで推奨されている撮影ポーズでもあり、国内においては最もポピュラーな撮影アングルといえます。しかしながらこのアングルからの撮影は、人間は真正面から、鯉は真横から撮影していることが原因で、極めて平面的な写真になってしまいます。そこで立体感を演出し、鯉をより強調した写真に仕上げる方法を紹介します。
 
下の写真2枚は同じ鯉を別のアングルで撮影したものです。後の写真は人間も鯉も斜めから撮影する事で奥行き感が広がっているように見えるのがお分かりでしょうか?鯉の頭部が人間の頭部よりも大きく見え、鯉全体の重量感が先の写真と全く違いますね。この写真に写っている鯉の実際の大きさは90.5cmですが、それ以上にグロテスクな印象を受けます。

 

 

では立体的な写真を撮る際のポイントについてご説明します。
 
撮影のポイントは前にお話した3つで、
  (1)大きな三角形を撮れ!
  (2)アゴを出せ!
  (3)ヒジを伸ばせ!
で、変わりはありません。この中の(2)と(3)については既にお話した通りですので、ここでは(1)についてのみお話したいと思います。
 

この撮影におけるカメラの位置は、ご覧になってわかるように、鯉の頭側の斜め45度方向です。これ以上斜めから撮ると、鯉の体の部分が頭の影になっていき、鯉全体の重量感が次第に損なわれていきます。また、カメラの高さは、ほぼ鯉の頭の高さに構え、ズームレンズを最も広角側にして出来るだけ鯉の頭に近づいて撮影します。この広角側で近づくところがポイントで、離れて望遠側で撮影するよりも鯉と人間の遠近感が生じ、手前の鯉がより強調される効果があります。ちなみに望遠側の撮影は、一般には「圧縮効果」といって前後に距離があるものでも近い位置にいるかのように、距離感が「圧縮」されます。よくマラソンの中継を見ていると、後続の選手がすぐ後を追ってきているように見えても、実際は相当距離が離れている場合があります。あれが望遠側で撮影していることによる圧縮効果です。ここでの撮影は、あくまでも立体感を演出し、鯉を強調する意味で広角側をお勧めします。
 
カメラを鯉に近づけるために、カメラマンが一生懸命前後していい位置を探していると、ついつい鯉の尾びれが写真からはずれてしまいます。三角形の一部が欠けるとバランスの悪いフレーミングになってしまいますので注意が必要です。また、カメラを近づける限界を超えますと、人間または鯉が極端にピンボケになってしまいますので注意しましょう。

最後に、もう1つ別のポーズについてお話しておきます。それは、人間は立ち、鯉の頭を上にして縦にぶら下げるように持つポーズです。このポーズは私は以下の二つの理由でお薦めできません。
 
一つは、鯉を縦に持つためには、エラに手を入れて持ち上げるか、エラにロープを通して持ち上げることになります。鯉のダメージを考えた場合、これは避けたほうがいいと思います。
 
二つ目は、このポーズは鯉を横に持つよりも大きさが強調され難いということがあげられます。鯉も人間も縦に写るわけですから、当然大きい方の人間がそばにいると鯉が負けてしまいます。ただし、人間に負けないくらいの大きさの場合はむしろ並んで写るのが効果的なのですが、鯉においては当面そのような大物が現れることはないと思っています。
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