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Record1500 / メカニズム(2)

右サイドプレート

サイドプレートの外観でわかるとおり、ハンドルと右スプールキャップしか見えません。つまり現代のモデルでは当たり前のクラッチとドラグがないことがわかります。ハンドルの固定ナットは、これも現代では当たり前の緩みどめがありません。プレートの刻印は「A.B.URFABRIKEN〜SVANGSTA」とあります。1921年にカールが時計会社を再興した当時の社名と所在地、「A.B.時計製造〜スヴァングスタ」と示されています。サイドプレートにあるネジの頭の形状は2種類です。平らな4本のネジでメインフレームに対してサイドプレートを固定し、さらにサイドプレートに対して丸い2本でギヤモジュールを固定しています。
 

 
次に、ハンドルとサイドプレートを取り外した状態です。大きなドライブギヤが小さいスプールギヤに直接噛み合っています。クラッチがないことから、このリールをキャスティングすると、ハンドルが逆転してしまうメカニズムです。メインギヤはレベルワインドのウォームシャフトギヤにも噛み合っていますので、ハンドルの逆転とともにレベルワイドも逆転することで、ラインが問題なく出て行くことになります。ちなみにメインギヤ:スプールギヤのギヤ比は45:12のはす歯ギヤで、メインギヤ:ウォームシャフトギヤのギヤ比は18:16の平歯です。
 

レベルワインド

さらに、メインギヤを外した状態です。このリールはウォームシャフトギヤが右サイドにありますが、現在のアンバサダーリールはすべて左サイドに配置されています。元々このRecord1500のように右サイドに配置されていたギヤが、後にクラッチやドラグの搭載などメカニズムの複雑化に伴い左側に移動せざるを得なかったと考えられます。また、遠心力ブレーキは1945年のRecord2100から搭載されましたが、このリールには搭載されていません。
 

 
レベルワインドのメカニズムの拡大写真です。左右に往復するメカニズムは現在のリールと全く同じで、当時から完成度が高かったと言えます。これは開発にあたって参考にしたアメリカ製リール(シェークスピア、サウスべンド、フルーガー)などですでに確立されていたメカニズムであると推測されます。
 
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